不妊症

西洋医学の不妊症治療と言えば、排卵の状態と精子の活動性を見るのが一般的です。
その為に、一生懸命に基礎体温をつけ、排卵日近辺で夫婦生活をさせようとします。
これでもうまく行かない場合、体外受精や顕微受精を行なうようになります。
ここまでやってもなかなか妊娠しない事も多く、患者さんの経済的負担(年間100万円を超える場合も有り)や不妊治療の苦痛に苦しんでいる人も多いようです。

不妊症の多くが子宮や卵巣の冷えと東洋医学で言う「気」の概念が無い事に問題がありそうです。
子宮や卵巣は冷えの影響を受けやすく、冷えが強まると全ての機能が弱まってしまいます。
残念ながら、この冷えを西洋医学では認識できていません。
その為に、物質である精子と卵子の結合ばかりに目が行ってしまい、受精卵という物質だけを作り出そうとします。
こうして出来た受精卵は、この段階では物質に過ぎず生命である「気」は宿っていません。
また、受精卵が出来ても冷えが強いと受精卵は育ちにくいものです。
オギノ式と言われる排卵予定日に起こる排卵は、私から見ると受精が行なわれなかった結果の残渣とも言えます。
つまり、新鮮度が落ちている排卵と仮定しています。
本来人間は、子孫を残す為のシステムとして本能としての欲求である性欲が存在します。
この性欲は、排卵日の為にあるのではありません。
あくまで、子孫繁栄の為の自然の本能です。
この本能が行なうセックスではよく妊娠が起こります。
例えば、ハネムーンベビーがその一つです。
このように考えてもらうと、オギノ式で言われる排卵日での受精では妊娠が起こりにくいと思われます。
妊娠が成立するには、受精卵(物質)+生命(気)=妊娠(生命体)が重要です。

妊婦


不妊症でお困りの方は、受精卵を作るための準備ならびに受精卵を育てる為に必要な子宮や卵巣の冷えの改善、ならびに「気」が十分に子宮に注がれ受精卵が生命体として成長出来るようにする漢方薬が必要になってきます。
漢方治療は、早ければ早いほど妊娠有効率は高まります。

漢方的に不妊症の原因として多いのは以下の通りです。
子宮や卵巣の冷え(約30%も機能が低下) 温補の漢方薬が必要です。(人参湯、当帰建中湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、温経湯等)
気虚や血虚(気や血の不足) 気や血を補う漢方薬が必要です。(補中益気湯、四君子湯、四物湯、当帰芍薬散、十全大補湯等)
瘀血(血流障害による汚れた血液が多い状態) 活血の漢方薬が必要です。(桂枝茯苓丸、桃核承気湯、冠心II号方等)
腎精不足(加齢に伴う生命の根源エネルギーの低下) 腎精を補う漢方薬が必要です。(八味地黄丸、六味地黄丸、杞菊地黄丸、味麦地黄丸等)
肝気鬱結(ストレス等による気の滞り) 疏肝の漢方薬が必要です。(加味逍遙散、抑肝散陳皮半夏、小柴胡湯、柴胡桂枝湯、柴芍六君子湯等))
また、不妊症は上記の原因が複雑にからまった状態にある事が多いです。
漢方薬も、それぞれの体質に合わせて飲んでいただく必要があります。
1日でも早く、かわいい赤ちゃんを授かるためには、体質に合った漢方薬を服用される事が近道です。

〇〇療法の問題点
一部のチェーン店では生理周期によって、漢方薬を決めている所があります。
これは、西洋医学でわかっている生理周期に合わせて漢方薬を処方するので、生理不順がある人には無理があります。
また、生理周期を中心に人体をみると東洋医学本来の陰陽理論ではなくなってしまい、どちらかと言うと漢方薬を西洋医学的に使用するので本来の東洋医学ではなくなってしまいます。
不妊症の女性患者さんからみると、藁にもすがる思いなので合理的に見えるかもしれませんが思ったほどの効果が無く、ダラダラと漢方薬を続けるという悪循環に陥ってしまっている患者さんが多くみえます。
このような患者さんが、本来の弁証論治によって懐妊される例が多くあります。

木村漢方薬局では、〇〇療法を行っていません。
純粋な中医学理論の基づいて、漢方薬をお出しします。
煎じ薬を中心とした東洋医学本来の漢方薬をおすすめします。

男性不妊症について

男性不妊症である、精子数が少ない、精子の活動性が弱い等の場合も漢方治療が有効です。
精子を作ったり、精子の活動性を高めるにも「気」の存在が大きく関わっています。
特に男性の場合、腎精の状態が弱くなってしまうと、精子の運動率低下や精子数の減少が起こってしまいます。
腎精を補う漢方薬が基本になりますが、女性と同じく肝気鬱結(ストレス)や気血の過不足、痰湿(汚れた水分)、血瘀(汚れた血液)等との関連がありますので、やはり体質に合った漢方薬が必要です。